米テンプル大学(フィラデルフィア州)の研究グループは、音楽が大腸内視鏡検査の痛みの緩和に役に立つとする研究結果を発表した。音楽を聴きながら検査をした人に使用した鎮痛剤の分量が、音楽を聴かないで検査を受けた人に比べて少なくて済んだと言う。
研究では、大腸内視鏡検査を受ける男女73人に、自宅から好きな音楽の入ったCDを持参してもらい、検査の間、その音楽をイヤホンで聴かせた。音楽の音量は患者しか聞こえないように設定し、医師にはイヤホンで音楽が流れているかわからないようにした。
その後、検査で投与した催眠鎮静剤ミダゾラムと麻酔・鎮痛剤フェンタニルの分量を比較したところ、検査の間、音楽を聴かなかった患者へのミダゾラムの投与量は4.4r、フェンタニルが93mcgだったのに対し、音楽を聴いていた患者へのミダゾラムの投与量は3.8r、フェンタニルは87mcgで済んだという。この差は臨床的に重要とされる水準と言う。
音楽が手術前の気持ちの動揺を抑える効果があるとの研究結果もあり、全国の医療機関で音楽の効果についての研究が進み始めている。今回の研究を率いたベンジャミン・クレブスキー医師は、「薬剤の投与が少なくて済めば、医療費の削減につなげることもできるのではないか」と述べている。
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