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医療メカトロニクスバックナンバー一覧へ >>
病院で何気なく目にする様々な医療機器、その仕組みや原理等を分かりやすく解説します。
(解説者:医師 北村 大也)
第2回
『レントゲン』
連載2 ― 「 レントゲン(X線)の正体」
(掲載日: 2007.03.16)
<< 連載1 「レントゲンとX線」
今回は、レントゲン(X線)が発見されたいきさつと、物理的な原理を説明していきましょう。
1.X線の発見
1895年11月8日、レントゲン博士は陰極線(電子)の実験を行っていました。
放電管の中で陰極から発生した陰極線(電子)が陽極に引っ張られていきます。そのとき、そばにあった紙のスクリーンが蛍光し、“正体不明の何か”が発せられていることに気づきました。これが、陽極のそばのガラス管などに陰極線が当たり発生した「放射線」発見の瞬間でした(図3)。
この新しい、不思議な性質を持った放射線に、レントゲンは未知を意味するXの文字をあて、「X線」と呼びました。その後、レントゲンは手のX線写真を撮っています(図4)。これには、骨と指輪が写っており、レントゲン夫人の手と言われています。世界初のX線写真です。
100年以上を経た現在、X線写真は医療になくてはならない検査となっています。X線発見後、レントゲンはX線に関する論文を次々と書き上げ、その功績により1901年に第1回ノーベル物理学賞を受賞しました。
2.X線写真の原理
X線は強い透過性があり、物質や人体の中を通り抜けるため、それらの内部構造を知ることができます。
入射したX線は、人体の中を透過するときに吸収され減弱します。しかし、その減弱の度合いは原子組成によって異なります。
人体の原子組成は、大きく分けて「脂肪組織・軟部組織」「体液」「骨組織」の3つに分類できます。人体を透過するX線は、その通り道に存在する組織によってさまざまな度合いで減弱し、その違いをフィルムに写すことによって人体の内部を写真に写し取ることができます。
写真フィルムに塗布された乳剤にX線が当たると、黒く変化します(黒化)。X線の強さが強い(減弱が小さい)ほど黒くなり、弱い(減弱が大きい)と白く見えます。
例えば、骨組織はX線が透過しにくい(X線の減弱が大きい)ので、X線写真では白く写ります(図5)。フィルムの乳剤に対するこの作用を、「感光作用」あるいは「写真作用」と言います。
また、X線には「蛍光作用」があります。蛍光作用とは、物質がエネルギーを受け取ると発光する作用のことです。X線はタングステン酸カルシウムという蛍光物質を発光させる作用があり、これにより生じた可視像を見るのが「X線透視法」です。
X線写真がX線を使った写真なら、X線透視法はX線を使ったビデオです。動いている画像を見ることができるので、胃のバリウム検査や心臓のカテーテル検査、治療、骨折の整復や手術などに使用されています。
写真やビデオがアナログからデジタルに変わったように、X線写真やX線透視法も近年デジタル化が進んでいます。画像の条件を簡単に変えることができ、保管の手間やスペースが省けるなど、非常に便利になってきています。このため、フィルムを現像せず、パソコンの画面でX線写真を見るクリニックや病院も増えてきています。
<POINT!>
※レントゲンは、発見した「放射線」を「X線」と名づけた。
※X線は、人体を通り抜けるときにぶつかる組織によってさまざまな度合いで減弱し、その違いをフィルムに濃淡として表すことで、人体の内部を写真で見ることができる。
次回は、レントゲン(X線)が人間の細胞に及ぼす影響を説明します。
連載3 「放射線による被ばく」 >>
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