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病院で何気なく目にする様々な医療機器、その仕組みや原理等を分かりやすく解説します。
(解説者:医師 北村 大也)
第5回
『MRI(核磁気共鳴画像法)』
連載1 ― 「MRIの原理(その1) ― 磁気の力 ― 」
(掲載日: 2007.06.08)
CTに引き続いて、今回はMRI(Magnetic Resonance Imaging:核磁気共鳴画像法)の話です。
CTとMRIを混同している方も多いようですが、簡単に言うとCTはX線を使用した検査、MRIは磁気を利用した検査です。医療の現場では、それぞれの特徴を考慮して検査方法を選び、検査が行われています。
MRIは、内科での脳梗塞の診断や、整形外科での椎間板ヘルニア・膝半月板損傷などの診断に力を発揮します。その原理には、「核磁気共鳴現象」が利用されています。
今回の連載では、最初にMRIの原理を、次にCTとの比較によってMRIの長所と短所を説明することにしましょう。
1.空間を伝わる磁力
家の中では、どんな所で磁石が使われているでしょう?
例えば、冷蔵庫には料理のレシピやプリント類などを磁石で貼っていたりしますよね。これから分かるのは、磁気の力(磁力)が紙などを通り越して冷蔵庫に働きかけているということです。
それどころか、磁力は真空中でも伝わります。目に見えず、離れたところに働く磁力。よく考えてみると実に不思議です。
2.磁力を“見る”
机の上に棒磁石を置き、そのそばに方位磁石を置きます。すると、その方位磁石はある方向を向きます。その方位磁石の先にもう1つ別の方位磁石を置くと、2つ目の方位磁石は1つ目の方位磁石に連なるように同じ方向を向きます。この作業を繰り返していくと、棒磁石の磁力がどのように働いているかが分かります(図1−a)。
あたかも磁力は線のように見えるので、これを「磁力線」と言います(図1−b)。磁力線の向きはN極からS極に向かうものを正の向きとします。
また、磁力の働いている空間のことを「磁場」、あるいは「磁界」と言います。空間の中である小さい部分を考えたときに、その磁場の強さは単位面積当たりを通る磁力線の本数(密度)で考えられます(図2)。
棒磁石のN極・S極を磁極と言いますが、これらのそばは磁力線の密度が高く、磁場が強いことになります。
ちなみに、棒磁石のN極は北(North)を、S極は南(South)を指すことから名付けられています。
<POINT!>
※
MRIは磁気を利用した検査である。
※
磁気は空間を伝わり、磁力の働いている空間のことを「磁場」あるいは「磁界」と言う。
※
磁場の強さは、単位面積当たりの磁力線の本数(密度の高さ)で考えられる。
磁力が空間を伝わっていくイメージがつかめたでしょうか?
次回は、磁力の源を探ります。
連載2 「MRIの原理(その2) ― 磁力とは何か ―」 >>
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