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医療メカトロニクスバックナンバー一覧へ >>
病院で何気なく目にする様々な医療機器、その仕組みや原理等を分かりやすく解説します。
(解説者:医師 北村 大也)
第7回
『血圧計』
連載2 ― 「身の周りの圧力」
(掲載日: 2007.09.14)
<< 連載1 「圧力の特徴を知る」
1.気圧
私たちが暮らしている地上では、常に大気からの圧力を受けています。これが「気圧」です。
地球上の大気の厚さは100km以上あります。大気の底で暮らす私たちにはどれくらいの圧力がかかっているのでしょうか?
その圧力は約1kg/cm2で、体表面積1cm2当たり1kgの力が加わっていることになります。
また、別の単位では760mmHg(ミリメーター水銀)とも表されます。なぜ水銀が登場するのでしょうか? それは、1643年に行われた有名な実験に起因します。初めて地表での気圧を測定したこの実験は、「トリチェリの実験」と呼ばれています。
■気圧という圧力の大きさを調べる実験(トリチェリの実験)(図4)
一方の端が閉じたガラス管に水銀を満たし、水銀を入れた容器の中に逆さまに立てます。すると、ガラス管内の水銀は下に降りていきますが、76cmの高さで止まってしまいます。
この理由は、
連載1
で出てきた「パスカルの原理」で説明できます。水銀の入ったガラス管の上部は真空状態ですから、76cm分の水銀の重さ(水銀柱の圧力)と大気が水銀を押す力(大気の圧力)がつり合っていると考えられます。
76cmの水銀柱の圧力=気圧
水銀柱の状態は、大気の状態によって多少の変化がありますので、ちょうど76cmの高さになったときの気圧を1気圧とし、圧力の大きさを表す単位として用いられます。
1気圧=76cmHg(760mmHg)
水銀の重さは1cm3が13.6gです。1cm2の上に76cmの水銀柱があるわけですから、その水銀の重さは、76(cm3)×13.6(g/cm3)= 1033.6(g)≒ 1(kg)になります。つまり、1cm2当たりに約1kgの力が加わっているので、
760mmHg=1気圧≒ 1kg/cm2
となります。
ちなみに、このトリチェリの実験を水(1cm3当たり1g)を使って行うとどうなるでしょう?1気圧(約1kg/cm2)=1(g/cm3)×h(高さ)となりますから、約10mの水の柱ができることになります。
2.水圧
次は、水圧について考えてみましょう。
水の中での水圧は、深くなっていくほど高くなります。1気圧が10mの水の柱とすると、10m深くなるたびに水圧は1気圧ずつ高くなっていきます。10mの深さでは2気圧、20mの深さでは3気圧です。腕時計の防水機能でも10気圧防水などの表記が使用されていて、どれくらいの静水圧に耐えられるかの目安になります。
ところで、日常生活防水の時計は3〜5気圧防水となっていますが、“水につけて泳いだりしないで下さい”との注意書きがあります。30mくらい潜っても大丈夫そうな気がしますが、泳いだりするだけでも壊れてしまうのはなぜでしょうか?
水の中で腕を動かしたときに時計に加わる圧力は、そっと入れたときの圧力より大きくなります。流水中に時計を入れた場合も同じです。流れのある液体や気体を「流体」と言いますが、流体の中にある物体には流れによる圧力が付加されます。
次回は、この「流れの持つ圧力」について詳しく説明することにします。
<POINT!>
※
私たちの体は、1気圧の圧力を持つ空気と接している(私たちの体には、体表面積1cm2当たり1kgの力が加わっている)。
※
トリチェリの実験により、気圧の大きさ「760mmHg=1気圧≒ 1kg/cm2」が証明された。
連載3「流体の圧力(動圧と静圧)」 >>
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