●西島議員 |
経済財政諮問会議が提案する伸び率管理制度を導入した場合、2025年度の医療費は対GDP比で5.8%に抑制されることになる。イギリスでは、医療費抑制策の一環で企業経営手段や競争原理の導入など効率化を推し進めた結果、医療従事者が削減され、患者の待ち時間が延長された。このため、イギリスはガンの5年生存率が欧州先進諸国の中で最低になったうえ、医療の質も富裕層とほとんどの国民の間で格差が生じるという事態にも陥った。
ブレア政権はこうした過去の反省から、主要疾患の死亡率低下を目指して待機時間を短縮するための政策に打って出ている。具体的には、NHS予算を1999年(412億ポンド)から2005年(850億ポンド)にかけて倍増。さらに、2001年時点でGDP比7.5%の医療費を2007年度には同9.4%に引き上げると発表している。
ドイツ、フランスにおいても同様の抑制策が取られていたと思うが、その結果はどうだったか教えて欲しい。
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●水田邦雄 厚生労働省保険局長 |
フランスでは、国が医療費総額と病院と開業医の部門ごとの医療費を決定している。目標超過時の開業医に対する一律の医療費返還義務が制度上組まれていたが、これについては違憲判決が出されて、ほとんどが実効をあげておらず、目標額を超過している。また、 ドイツについては、開業医についてはもともと保険者と保険医協会の間で診療報酬総額について総額請負方式というものが採用されており、制度上、上限をあらかじめ設定する仕組みがとられている。入院や薬剤についても同様に伸びの上限が定められているが、多くの例外が設けられ、所期の成果はあがっていない。 |