時代が要求する大きな生活変容
外岡立人 元小樽市保健所長、医学博士
東京都の新規感染者数が減少し出した。
それは8月上旬には僕のデータ上明らかになっていた。
そしてその2週間後全国平均でも感染者数は減少に転じている。
感染者数減少の理由は、人流が減ったからか、またはワクチン接種率が高まったからか、それとも飲食街に人々が出歩かなくなったからか、それは分からない。
ただ言えることは、妙な表現になるが、“都民が呼吸する空気の中に存在する、コロナウイルスの量が減ったこと”が、直接的原因であることは間違いはない。
新型コロナは主として空気媒介により感染する。すなわち空気感染である。
新規感染者数が減少してきたということは、都民が、呼吸する場所を、ウイルスが存在する危険性のある空気が滞留している場所を、無意識に避けるようになってきた可能性がある。
また人との近接な接触を無意識に避ける、または会話は少し離れて行う、そして他人との会話は間違いなくマスク着用で行う等、すべては”無意識下の行動”となってきたことも理由としてあげられる。
空気は呼吸で無意識に吸い込むが、都民は“意識的”に危険な空気が存在する空間を避けていた状態から、しだいに“無意識的”に避けるようになってきた可能性が高い。心身に宿っている防御反応の一つだ。
室内では、密を避ける、マスクを着用する、新鮮な外気が循環して、他人が呼吸に使用した空気が絶えず追い出されている環境を求める。
英国では他人と呼吸の空気を共有するな、と言われる。
外でも同じく、無意識に新鮮な空気が存在している空間を選ぶ。
そのような生活変容が住民の間で広がってきたことが、第五波の新規感染者数減少の原因かもしれない。
大きな生活変容は地球温暖化を阻止するためにも、重要となってきている。
“贅沢な生活を求めることは止めて、地球に優しい生活を求めて!”
スウエーデンの少女環境活動家である、グレタさんの主張である。
新型コロナは、これからの時代を生き抜くための、基本的生活の変容の重要性を我々に伝えているのかもしれない。
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外岡立人(元小樽市保健所長、医学博士)
◇◇外岡立人氏の掲載済コラム◇◇
◆「我々をコロナから守るのは新鮮な空気である」【2021.5.25掲載】
◆「コロナ日記」【2021.1.26掲載】
◆「鳥の歌」【2020.9.29掲載】
☞それ以前のコラムはこちらから