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(掲載日 2007.11.08)
 前編をサイト上に掲載した6日から、民主党内で小沢一郎氏の代表留任を求める動きが活発化、4日に辞任表明をした小沢氏はわずか2日で辞意を撤回することになった。

 だが、自民、民主両党を取り巻く状況は福田康夫首相と小沢氏が「大連立」を話し合う前と何ら変わりはない。政局は連立カードを背景に、紆余曲折の段階に入ることになりそうだ。

 小沢氏は慰留する鳩山由紀夫幹事長らに「恥をさらすようだが、みなさんの意向を受け、もう一度がんばりたい」と述べたという。

 だが、小沢氏の持論である「政治は国民のためにある」という基本に立てば、今回の翻意は恥ずべきことでは決してない。

 では、小沢民主党は今後、どう対応すべきか。小沢氏を単なるお飾りにしないための方法はひとつだけある。連立をせずに政府与党との政策協議の中で現実的な着地点を見出すことだ。

 今国会最大の焦点である新テロ対策特別措置法案をめぐって、遅ればせながら民主党も6日に新テロ対策特別措置法案の対案骨子をとりまとめた。

 小沢氏が主張していたISAF(国際治安支援部隊)への参加は引っ込め、陸上自衛隊がイラクで行っていたような人道復興支援やインフラ整備に限って自衛隊を派遣するという内容だ。

 政府案の中心であるインド洋上での他国艦船への給油活動についても、国連決議に基づく国連の活動であることを前提条件に実施に含みを持たせている。

 2度にわたる党首会談で、福田首相も民主党の主張に大きく譲歩する姿勢を示しており、両党を中心とする政策協議は十分に可能だ。

 自民党との連立に反対されたために辞意表明した小沢氏を翻意させたのだから、民主党内の「対決戦術」派も政策協議までは拒否できないであろう。

 民主党が政策協議に乗ってくれば、福田政権は当面の危機を乗り越えることができる。一方で政党間協議を続けておいて、国会審議においては全面対決するということは常識的にありえないからだ。

 もちろん、野党共闘しか頼るすべのない共産党や社民党、国民新党は、民主党が自民党との政策協議を行うことを強く批判するに違いない。だが、いかに彼らが反対しようとも、小沢民主党が一度走り出せば、それを止めることはできない。

 誰が最初に大連立を言い出したかは、最早、問題ではない。政局は党首会談―民主党の連立拒否―小沢氏の辞任表明―辞意撤回という流れを受けて、大きく動き出している。

 政府与党と民主党の政策協議が始まったとしても、流動化の影は消えない。何があってもおかしくない。そういう状況に日本の政治は入ろうとしている。

 忘れてならないのは、政治は国民のためにあるという一点であろう。

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