2005年4月12日掲載のコラム「65歳継続雇用は正しい選択か」に対するご意見です。
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勤め人の厚生年金は、基礎年金(国民年金に相当)と報酬比例の上乗せ部分とから成る。基礎年金は、1年間掛けるごとに、年間2万円給付が増える。
報酬比例部分は、1年間掛けるごとに、100万円の報酬につき、約5,500円給与が増える。報酬の平均が400万円だとすると、約22,000円給付が増える勘定だ。さて、今回の定年延長によって5年間掛け金の期間が延びることになる。すると平均的な勤め人一人当たり1年間(20,000円+22,000円)×5年間=210,000円、年金の給付が増えることになる。
一方、日本のサラリーマンの数は、公務員を除いて、ざっと3,500万人。定年延長の恩恵に預かる勤め人の数は年単位で3,500万人×2.5%×80%=70万人である。2.5%とは40年働くと仮定しての1才単位のサラリーマンの割合。80%とは、20%の人がこの制度を忌避すると仮定しての残存人率である。
そもそも医療法人は中間法人である。中間法人と言うのは公益法人と株式会社等の利益法人の中間という意味である。配当を禁じることにより公益性をもたせ、出資持ち分を持たせることにより財産権を担保する仕組みである。つまり公益と私益のバランスを図る法人形態である。
そうすると、定年延長により、70万人×21万円=1470億円の年金給付が毎年増加する計算だ。平均寿命が80才であるとすると、(80才−65才)×1470億≒2.2兆となる。実施から15年後には、後世の負担が今と比べて年間2.2兆円も増えてしまう。
定年延長の善し悪しは別として、若い人の就職のイスの数は減り、かつイスに座るコストは増加するということだけは確実のようだ。
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