|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
「伸び率管理」には根拠がない |
|
|
日本医療総合研究所 取締役社長 中村 十念 |
|
政府の「骨太方針」の作成が大詰めを迎える中、経済の伸びを上回って増大する医療費をどう抑制するかをめぐって議論が戦わされているという。政府は「経済の伸びに基づくマクロ指標によって医療費の伸びを管理する」というが、下のグラフを見て欲しい。GDPと医科の医療機関医療費の伸び率を比較した表である。(※医科医療機関医療費 = レセプト請求された病院・診療所の医科の入院 + 外来の医療費、出典は厚生労働省医療機関メディアス)
直近4年間の比較で見ると、医療機関医療費の伸びがGDPの伸びを上回ったのは、わずかに1度だけである。この間の平均伸び率はGDPが1.025%、医療機関医療費は0.200%である。GDPの5分の1以下である・財政制度等審議会の建議書では「医療費は今後とも経済の伸びを大きく上回って伸びる見込みであり」などと言っているが、医療機関医療費を見る限り、その根拠は今のところ全くない。
「伸び率管理」の導入に執着する経済・財政諮問会議のメンバーには、経済学者や企業の関係者が多い。むしろ、経済の伸びに遠く及ばない医療機関医療費が、医業経営や経済波及効果に及ぼす悪影響について心配する人がいても不思議ではないと思うのだが、どうなっているのだろう。表面的な財政の資料だけ見て、肝腎な点を見逃しているのだろうか。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|