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(掲載日 2010.03.31)
H5N1の強毒型のトリインフルエンザについて(質問と回答)
投稿者 ■質問者 吉川修身(麻酔科医師)、■回答者 外岡立人(医学博士)

■質問者 吉川修身(麻酔科医師)
 H5N1の強毒型のトリインフルエンザについて、「人へのパンデミックは強毒のままあり得ないという説」と「あり得るという説」とがあります。
 今や、ウイルス学者も企業と結びつきがあり、信頼する意見を出す人は誰かが特定できません。
 医師に解りやすく、あり得ないとする説のウイルス学的な説明が得られないものでしょうか?

■回答者 外岡立人(医学博士)
 人のインフルエンザウイルスには、鳥インフルエンザウイルスのように、強毒型と弱毒型の分類はありません。鳥におけるインフルエンザウイルスの感染様式は、必ずしも人と同じではないようです。ですから鳥における全身感染型の強毒型ウイルスが同じ特性のまま、人への全身感染を起こすことがあるかは、あくまでも仮説の域を出ていないと思います。
 H5N1鳥インフルエンザウイルスが、その高病原性を維持したまま変異して人人感染を起こすようになるかについては、かってWHOは可能性は否定できないと言ってますが、最近ではそうした話題がほとんど出なくなりました。
 ただエジプトで乳幼児での感染が多発していて、その多くは重症化せずに治癒しています。そういう事実から考えると、鳥で強毒型のインフルエンザウイルスが、もし人へ感染するようになったとしても、その病原性は必ずしも高いとはいえないかも知れません。
 鳥と人での感染様式が全く異なりますから、鳥インフルエンザの病原性の高低を両者で比較するのは無理だと考えています。ウイルス学者はフェレットを使って色々と実験を繰り返していますが、その結果と人での疫学的事実は必ずしも一致してないと思います。H5N1鳥インフルエンザは確かに家きんでは致死的で恐ろしいウイルスですが、これが変異して容易に人人感染を起こすようになるかは、この10年以上の経過を見ていますと、かなり否定的なように考えられます。しかし可能性がある限りウイルスの追跡は重要と考えています。
 ウイルス専門家ではないので、ご質問に十分答えられてないとは思いますが、ご了解願います。

■質問者 吉川修身(麻酔科医師)
 ありがとうございます。
 「鳥インフルエンザH5N1の人人感染の可能性は低いが、また強毒性のまま感染が広がる可能性は低いが、可能性がゼロではないので追跡を続けている。」との理解で、とりあえず納得しました。
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