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総選挙に突入して |
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医療法人社団 青柳皮膚科医院 理事長 青柳 俊 |
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2005年8月30日掲載の「第8回アンケート」に関するご意見です
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9月11日の投票日に向けた選挙が公示された。今回は組織から離れ、個人の立場で投票することになる。票をどう投じるかは、悩ましいところだ。
医療現場では、社会主義的な考え方に基づいて診療している。しかし、共産党や社民党に票を投ずる気持ちにはならない。医者とて社会を構成する一員である。経済や財政、外交、防衛政策についての考え方が異なれば、票を投じようとは思わない。
民主党はどうだろうか。考え方に一貫性がない烏合の衆の体から脱却できず、中には自民党の政治家よりも経済至上主義や市場原理主義にかぶれている若手政治家も紛れているようだ。
以前の自民党には、懐が深く、我々の主義・主張を理解する政治家も少なからず存在した。私が自民党を支持する根拠は、そこにあったのだが、今後はどのような党に発展していくのだろうか。ある意味で「純化」され、小泉首相の自民党総裁任期の2006年9月までは、引き続き、経済至上主義と市場原理主義が幅を利かせることになるのだろうか。
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新・先見創意の会の第8回アンケートの集計結果をみると、自民党支持が多数を占めても、小泉政権支持にはつながっていない。自民党の候補者を支援すれば、解散総選挙に打って出た小泉政権を支えることになる。そのことに戸惑いを感じる会員も少なくないと想像される。
小選挙区で投票に値すると思われる候補者がいればよいのだが、私の地区では見当たらない。さらに言えば、比例区でも適当と思われる政党が存在しない。となると、投票用紙には「投票したい候補も党もなし」と書くしかないのだろうか。
日々の診療の中で、健康や命の価値に差をつける発想など浮かばない。平等・公平で診療に当たっている。病める人々を救うことが授けられた使命である限り、医療の現場においては、社会主義的な立場を堅持しなければと考えている。
わが国では、医療保険制度が確立する以前は、裕福な人から貧しい人への医療におけるある種の経済支援という形で、医師が自分の裁量で医療サービスの公平性を維持していた。
医療保険制度が確立してからは、医師が裁量を働かせる必要はなくなった。代わりに、制度を通じて、平等と公平性が維持されているのである。しかし、その意義や重要性を正しく理解しない政治家が増えてきているようである。若年世代を中心に、個人主義や自己中心主義的な発想が助長され、家族や地域社会、世代内や世代間などの社会連帯の考え方が後退しつつあるようにみえる。
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個人さえよければ、会社の経営さえよければ、という風潮がまかり通るようになってきた。経済至上主義や市場原理主義が社会連帯の仕組みを崩壊させてしまうのではないだろうか。国民皆保険制度の基本は社会連帯から成っていることを思い出して欲しい。こうした社会環境の変化は、国民皆保険制度を崩壊の危機に晒している。
例えば、日本社会が、国土の広さも民族構成も違うアメリカの社会構造をまねる必要があるだろうか。いま一度、踏みとどまって考える時期ではないだろうか。
若くて優秀な、能力のある政治家も増えている。しかし、彼らには、未だ気付かない日本社会の良さを認識してもらいたいと切実に願う。彼らの発言からは、上っ面のアメリカ社会だけを経験して、あたかもそれが正しいことであると信じ込んでいるような印象しか得られない。しかし、アメリカでは、日本以上に、家族の連帯や地域社会の連帯が強いことも忘れてはならない。
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