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Q1. |
ウエストナイルウイルス感染の原因と感染経路は? |
A1. |
West Nile virus(WNV)というフラビウイルス属 Flavivirusの1つ。RNAウイルス。Culexという蚊で媒介される。米国では、カラスがWNVに感染していることがNew Yorkで見つかったことで有名である。また、米国では輸血や臓器移植などによってWNVに感染した症例も報告されている。
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Q2. |
ウエストナイルウイルスの米国での広がりは? |
A2. |
2005年時点では、ほぼ全米の州で症例が報告されている。米国CDCのホームページなどで常時、発生状況の情報は更新されるので参照していただきたい。 |
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Q3. |
ウエストナイルウイルス感染の流行時期と潜伏期間は? |
A3. |
West Nile virusは、蚊で媒介されるため、蚊が蔓延する季節、すなわち夏から秋にかけてが流行季節である。蚊が少ない時期は媒介される可能性は低い。潜伏期間は、2-15日間である。 |
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Q4. |
ウエストナイルウイルス感染の症状または、身体所見は? |
A4. |
ウイルスに感染した人のうち、まったく無症状 asymptomaticな人もいる。一方、約20%の人は発症する。ウエストナイル熱(西ナイル熱)West Nile Fever、重症のウエストナイルウイルス感染が起こる。神経学的な症状を起こすのは、1% 以下といわれているが、米国での最近のアウトブレイクでは、感染者の入院患者の3分の2が脳炎、33分の1が髄膜炎という報告もある。一般に、West Nile feverの症状は、非特異的で、発熱、頭痛、倦怠感、ときに発疹やリンパ節腫脹が見られることもある。症状は、短くて2-3日、ながくて数週間におよぶ場合がある。
重症な感染症として、髄膜炎meningitis、脳炎encephalitis、ポリオ様の神経症 Polio-like neuropathy or West Nile Poliomyelitis (急性弛緩性麻痺 acute flaccid paralysis)を発症することがある。また、重症感染に心筋炎myocarditis、膵炎pancreatitis、肝炎 hepatitisが併発することもある。
身体所見では、全身リンパ節腫脹、肝腫大、脾腫大が見られることもある。 |
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Q5. |
ウエストナイルウイルス感染の際の検査所見は? |
A5. |
約50%で、白血球増加、15%にリンパ球減少症が見られる。低Na血症が脳炎では見られることがある。髄液検査では、通常のウイルス性髄膜炎と同様な所見がみられ、リンパ球優位の白血球増加、タンパクは中等度に上昇、グルコースは通常は正常である。 |
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Q6. |
ウエストナイルウイルス感染の確定診断方法は? |
A6. |
診断には、疫学情報が必須である。患者の米国などの流行地への旅行歴、蚊にさされるような活動をしたか、などを詳細に取ることが必須である。そのうえで、下記の確定診断に必要な検査が必要となる。
大きく血清および髄液中のvirus検出と抗体検査法の2種類がある。
○ |
Virus検出法とその限界 |
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Real-time PCR
(Real-time polymerase chain reaction ): |
0.1 pfu (plaque-forming units) |
Virus 分離: |
1 pfu |
RT-PCR
(Reverse transcriptase PCR): |
10 pfu |
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○ |
抗体検査 |
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血清中のWest Nile virus抗体IgM, IgGの検出
髄液中のWest Nile virus IgM, IgGの検出
米国でのデータでは、陽性になる確率は、髄液中のIgM (ELISA)で、発症後3-5日までで約50%、発症10日後で約95%である。 |
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国内では、上記検査は、国立感染症研究所に問い合わせが可能である。TEL:03-5285-1111、FAX:03-5285-1188
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Q7. |
ウエストナイルウイルス感染の治療は? |
A7. |
現時点では、特異的な治療法はない。対症療法のみ可能である。 |
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Q8. |
ウエストナイルウイルスのワクチンはあるのか? |
A8. |
ウエストナイルウイルスの特異的なワクチンは現時点では存在しない。日本脳炎ワクチンとのcross-protection (交差予防効果)が示唆されるが確立されていない。 |
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Q9. |
ウエストナイルを疑った場合の法的な対処は? |
A9. |
ウエストナイルウイルスは、感染症法の第4類感染症に分類されており、全数報告が義務付けられている。迅速に、管轄の保健所に届け出ること。 |