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(掲載日 2005.11.08)
テーマ  「228万円の黒字」というけれど、、、
投稿者  日本医療総合研究所 取締役社長 中村 十念
 開業医の所得のことである。開業医は個人事業主であるから、その所得の中には文字通り個人の「家計用の所得」と事業主としての「事業用の所得」が混在している。サラリーマンの給与所得はすべてが「家計用」である。

 控除後の課税所得が2,000万円の開業医Aさんの例を考えてみよう。Aさんはまず、その中から税金を払わなければならない。税金は大別すると所得税と住民税と事業税がある。所得税で約490万円を払う。住民税が約230万円だ。事業税は約85万円である。税金だけで約800万円が出ていく計算である。

***

 Aさんは事業を始めるに当たり、8,000万円借金をした。これを20年で返す計画である。年間の返済額は、400万円である。次にこれが出て行く。社会保険料も全額自腹である。これが年間100万円程かかる。従業員の退職金の引当額も経費で落ちないので、所得の中から毎月積み立てておくことにしている。従業員数人の分で年間200万円の出費である。

 あれやこれやで、1,500万円程度が出ていくことになる。課税所得の中からは500万円ぐらいしか残らない。一方で、プラスもある。所得控除は人によるが、Aさんの場合、250万円程度があった。経費で処理された減価償却費が240万円ぐらいあり、これも残っている。これらを加えても、ようやく1,000万円位しか可処分所得として手元に残らないことになる。

 これでおしまいではない。個人事業主には、企業年金や退職金などないのでAさんは老後の備えとして、この中から年間100万円を貯蓄している。また、先端的とは言えぬまでも、時代の流れについていくだけの設備投資は必要である。建物の老朽化にも備えなければならない。年をとってからの借金はなるべく避けたいので、そのための積み立てを年間250万円行なっている。

 それを1,000万円から引くと家計用に使えるお金としては650万円ぐらいしか残らないのである。個人の家計のローンの支払いなどは、この中から行なわれることになる。これが投資を必要とする業種の課税所得2,000万円ぐらいの個人事業主の実態ではないだろうか。

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 さて、恒例の医療経済実態調査が発表された。新聞は「開業医黒字228万円」などと、さも過大な収益を挙げているかのごとく書き立てている。同じ時期に週刊ダイヤモンドで上場会社の社長の平均年収が発表された。

上場企業の社長の年収

  筆者の計算では、社長の年収の平均は約9,900万円であり、中央値でも約5,600万円である。(表参照)個人業主と給与所得者の所得を比較することは必ずしも適切ではないが、もっぱら家計の用にしか使わない社長のほうがはるかに高い年収を得ている気がするのは私だけではあるまい。

  従業員の年収も発表されたが、そのランキングでは上位5社のうち4社までがマスコミ関係であり、一従業員当たり1,500万円前後とされている。(新聞社は上場していないので、この中にははいっていないが、同程度であろうと思われる。)やっかむつもりはないが、開業医が、この年収の人を雇うのは不可能である。それ程の高い年収を得ながら、記者の中には、個人事業主の所得とサラリーマンの給与の区別もつかずに記事を書いている人もいるのではないかと思わざるを得ない。

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  会社勤めのサラリーマンは、経営者といえども、事業用の(家計は別である)借金の返済はしないし、社会保険料も半分は会社持ちである。従業員の退職金の心配をする必要もない。将来の事業のリスクへの備えも、自分のフトコロからすることもないのである。

 そもそも人の懐具合を穿鑿するのは余り上品なことではない。それでもあえて言わせてもらえば、少なくとも課税所得2,000万円程度はなければ、開業医の事業の継続性は担保されないと思うが、皆さんのお考えはどうであろうか。
テーマ  民間議員も資産公開を
投稿者  群馬県 H.T
 新しい内閣が誕生したが、数年前から閣僚は資産公開が義務付けられ、新聞発表されている。しかし、国の政策に大きな影響力を持つ「経済財政諮問会議」の民間議員の資産はまったく公開されていない。どれだけ収入のある人たちが日本の政策を誘導しているのだろう。どれだけのお金持ちが貧しい国民の生活を考えているのだろう。彼らこそ国民に資産公開すべきである。
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