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泥縄へき地医療 |
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日本医療総合研究所 取締役社長 中村 十念 |
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「へき地では弁護士が不足しているので、弁護士事務所を開設する条件として、2年間のへき地経験が必要である」というルールが適用されるとしたら、弁護士業界は蜂の巣をつついたような騒ぎになるであろう。とても、まともに取り上げられる話でもあるまい。
ところが、医療の世界では、泥縄式のルール付けがまじめな面をして議論されているのである。1月20日の社会保障審議会医療部会の席上に、厚生労働省が、病院・診療所の管理者(つまり院長のこと)の要件に、へき地医療や救急医療などに一定期間従事することを義務付ける考えを示したというのである。出すほうも出すほうだが、人権問題でもあるので一笑に付されると思いきや、大半の委員が賛同したというのだから、二重の驚きである。
へき地医療が大変なことは、私もへき地の出身なのでよくわかるが、本質を解決しようとせず、このような許認可権限を楯にした姑息な政策は官僚の権限強化につながるだけの下策である。志のない医者に義務的に来られても、へき地の人も困るばかりではないだろうか。
そこで提案である。厚生労働省や地方公共団体の医務局、国立病院・独立行政法人病院・公立病院等には多くの医師が勤務している。つまり、公務員医師である。公務員医師への就職の条件として、一定期間のへき地勤務を義務付けたらどうであろうか。そのことがへき地医師の過剰を招くようなら、管理職登用の条件としても良い。公務員医師こそ、国民に奉仕する志を持って就職してくるのであろうから、へき地医療に最適任である。
その体験は、へき地医療に対する理解を深め、政策であれ、臨床であれ、官僚としての本来業務の遂行に大きく貢献することは間違いない。厚生労働省案への対案として、医師を始めとする多くの方々に是非検討してもらいたいと願うものである。
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