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「社会保障費」と「軍事費」 |
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日本医療総合研究所 取締役社長 中村 十念 |
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5月1日、「在日米軍再編の最終報告」が一般公表された。この中で示された米軍再編のための莫大な費用負担の指針は以下の通りである。
(1) |
(再編案の)実施における施設整備に要する建設費その他の費用は、明示されない限り、日本国政府が負担するものである。米国政府は、これらの案の実施により生ずる運用上の費用を負担する。 |
(2) |
第3海兵機動展開部隊のグアムへの移転のための施設及びインフラの整備費算定額102.7億ドルのうち、日本は、(中略)28億ドルの直接的な財政支援を含め、60.9億ドル(2008年会計年度の価格)を提供する。米国は、グアムへの移転のための施設及びインフラ整備費の残りを負担する。これは、2008年米会計年度の価格で算定した財政支出31.8億ドルと道路のための約10億ドルから成る。 |
アメリカの政府高官が伝えたとされる日本の負担3兆円が(日本の政府首脳は聞いていなかったと言っているが)(1)のみの額なのか、(1)+(2)の合計なのかは不明である。しかし、最低でも3兆円の負担は避けられない雲行きである。この巨額な負担のためには、新法の施行が必要とされているので、立法の課程で事の真相が明確にされる議論を期待したい。
問題は負担の実行年度である。2008年度がその年度に予定されている。2008年度は、次回の診療報酬改訂の年である。今ですら社会保障が国家財政の敵とみなされ、給付縮減の集中砲火を浴びている。軍事費3兆円増は、そういう環境下での新たな火種である。2008年度予算をめぐる攻防は「軍事費」をとるのか、「社会保障費」をとるのかの天王山となる。医療関係者には、今のうちから先見性のある戦略の立案が望まれる。
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