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(掲載日 2006.06.20)
療養病床見直しで
数年後には大恥をかく厚労省
投稿者  日本医師会総合政策研究機構 主席研究員 前田 由美子
 現在、療養病床は38万床ある。厚生労働省はこの過半を廃止して15万床だけにしようとしている。療養病床に入院している38万人のうち、ほんとうに医療上の療養が必要なのは15万人しかいないはずだから、出ていけと言っているわけである。

 百歩譲ってこの説が正しいとしよう。しかし、それでも厚生労働省はあっという間に大恥をかくことになる。

 65歳以上の高齢者は、現在約2,600万人であるが、2025年には約3,500万人、つまり1.3倍になると推計されている。現在も将来も、医療上の療養が必要な患者は一定の比率だとしてみる。そうすると、現在ほんとうに療養が必要な人は15万人だとしても、高齢化人口の増加に比例して増えつづけ、2025年には1.3倍の20万人になる。将来はさらに後期高齢化者の数が増加するので、実際にはこれよりもっと増えるはずだ。

 さあ、厚生労働省はどうするつもりだろうか。療養病床を一度は15万床に減らしておいて、今度は20万人分必要になったから、また建てて下さいと言うのだろうか。それとも、ほんとうに療養が必要な人は20万人いるが、療養病床は15万床しかないから、後の人は泣け!とでも言うのだろうか。実に滑稽なことである。

 本来であれば、仮に、仮に、仮に、現在は療養病床15万床しかいらないとしても、将来を見据えて、現状の病床数(38万床)を維持できるような仕組みにしておくのが先見性というものである。一度減反するとなかなか元には戻せないのは、歴史が示す事実である。
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