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(掲載日 2006.07.18)
緊急医療経営実態調査の準備を急げ
投稿者  日本医療総合研究所 取締役社長 中村 十念
 いよいよゼロ金利解除である。

 預金については良い話であるが、金融機関からの借金があるところはつらい。金融機関は貸出金利を上げてくるからである。東京商工会議所によると、かなりの数の中小企業が、もう既に金利を上げられたという。(7月13日付東京新聞)

 医療機関は商品の価格が公定されているため、金利上昇によるコスト上昇分を価格に転嫁しにくい業種である。しかも、この4月から診療報酬単価は▲3.3%と大幅なダウンに見舞われたばかりである。私の知る限り、単価ばかりではなく、医療機関にかかる患者の数も減っている。俗に言えば、客数も客単価も減って売上はダブルパンチで減ることになる。医薬品・医療材料や外注検査費は業者の抵抗にあって(彼らも自分の売上を守るのに必死である)、なかなか下がらない。従って粗利益も下がりっぱなしである。人件費や物件費の切り下げにも限度がある。営業利益の確保に汲々としている状況だ。そこに、金利上昇という追い討ちがかかるのだから、たまらない。金利上昇だけなら、まだ良いが、実は金融引き締めだったりするとなお怖い。

 このような事態を踏まえ、医師会をはじめとする医業に係る各経営者団体は、医療機関の緊急経営実態調査の準備を急ぐべきである。医療機関が潰れることは、国民の医療へのアクセスポイントが失われることである。倒産が大量に発生すれば、わが国の医療制度が世界に誇るべき、フリーアクセス制が崩壊してしまうことになる。経済的には内需の重要な柱が崩れることにもなりかねない。

 医療機関が潰れれば、それだけ医療費が減るから良いではないかという人もいるが、そんなのん気な話ではないのである。現場の医療機関経営者は、絶対に倒産させてはならないと必死に頑張っているはずだ。一度倒産するとその再建は、一筋縄ではいかない。このことを認識し、想定外の調査の結果を得たなら、各団体は診療報酬再改定の要求も辞するべきではない。
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