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(掲載日 2006.12.01)
奈良県立病院の時間外手当の不払いについて
北海道在住 江原 朗
<< 当直時間が労働時間であるとの司法判断はすでになされている
(2006.11.14掲載オピニオン)
10月21日のasahi.com(朝日新聞社)は、奈良県立奈良病院(奈良市)の産婦人科医5人が04、05年の超過勤務手当の未払い分として計約1億円の支払いと、医療設備の改善を求める申入書を県に提出したと報じています。しかし、情報公開法に基づいて、36協定を開示請求したところ、時間外勤務を認めた36協定はありませんでした。(
行政文書不開示決定通知書 >>
)
また、奈良県の「
職員の勤務時間、休暇等に関する規則
」においては、宿日直勤務に関して以下の記述があり、
「第七条 勤務時間条例第九条第一項の人事委員会規則で定める断続的な勤務は、次に掲げる勤務とする。
・
・
6) 県立医科大学附属病院又は県立病院における入院患者の病状の急変等に対処するための医師又は歯科医師の当直勤務」
とあり、外来患者の診療を宿日直としては認めていないようです。
もちろん、公務員ですから、「
職員の勤務時間、休暇等に関する条例
」において
「第九条 任命権者は、人事委員会の許可を受けて、第三条から第六条までに規定する勤務時間(以下「正規の勤務時間」という。)以外の時間において職員に設備等の保全、外部との連絡及び文書の収受を目的とする勤務その他の人事委員会規則で定める断続的な勤務をすることを命ずることができる。
2) 任命権者は、公務のため臨時又は緊急の必要がある場合には、正規の勤務時間以外の時間において職員に前項に掲げる勤務以外の勤務をすることを命ずることができる。」
との定めがあり、災害救助などの際には勤務時間以外の出勤もありえます。
しかし、恒常的に週40時間以上の勤務が続いておれば、36協定がなく、外来患者の診療も行っている場合には労働基準法に反する可能性が大です。 労働基準法では、36協定がない場合には以下の条項が適用されます。
「第32条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。」
とあり、第32条に違反した場合には、第119条で「6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する」とあります。
つまり、新聞報道が事実であれば、県立奈良病院の開設者は刑事処分を受ける可能性もあるということです。
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