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北海道在住 江原朗 |
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平成17年度の国民医療費は33.1兆円であり、そのうち公費負担は12.0兆円で全体の36.4%である。また、保険料および患者負担が占める割合は、それぞれ49.2%、14.4%である。保険診療では、国民1人あたり25.9万円の医療費がかかり、9.4万円が公費(国庫、地方)でまかなわれる計算になる。患者負担は1人あたり3.7万円である。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/05/index.html
公的な保険診療といえども、国や地方の支出は4割に満たないのである。つまり、保険の診療報酬100円のうち、約64円は保険料と自己負担で成り立っている。
株式会社の議決では、議決権を行使可能な株主の議決権の過半数を定足数とし、出席株主の議決権の過半数により決議する(会社法309条1項)。つまり、持ち株の過半数を有する株主の意向が、会社の意思となるのである。
それになぞらえれば、保険診療では、診療費の4割弱(地方自治体負担分を含む)しか費用を負担していない国が国の都合で診療報酬を決定しており、いささかの違和感がある。
そうかといって、現在、民間医療機関の損益分岐点が95%にまで迫っており、5%の収入の低下で赤字に転落するような状態で、公費の繰り入れなしでは医療機関の経営は持たず、何とも歯痒い。
http://www.med.or.jp/teireikaiken/20071030_1.pdf
平成20年度の診療報酬改定では、本体部分は若干の引き上げが見込めそうである。しかし、今後診療報酬の引き下げが続くようであれば(そうなりそうであるが)自由な価格決定権を求めて保険診療から自由診療へとシフトする医療機関が出てくる可能性もあるだろう。
そういうところは、金持ちしか相手にしないだろうから、国民皆保険のもととなる平等な医療は担保されなくなる。そんな状況が国民にとって医療の望ましい姿だとは思えない。国の財政的な都合ではなく、最低医療機関の経営の健全性が維持される診療報酬体系であって欲しい。
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