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「質が良く、安価な医療」は国際競争力を有する商品となる。
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北海道在住 江原朗 |
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さて、日本の今後ですが、医療費が大幅に増加するには財源が必要です。もし、増税がなければそれは無理でしょう。厚生労働省に医療費を上げろと迫っても、ない袖は振れないのが実情でしょう。
日本の医療費は保険制度下で、安く抑えられてきました。しかしWHOのリポートでは、2000年に日本の医療が世界一効率がよいとされています。
「質がよく、安価な医療」。こうしたことは、国内的には医療費を上げよと政府に要求する根拠ともなりえますが、一方、安価で質のよい医療サービスは国際的な競争力を有する商品にもなりえます。
日本の農産物が中国やその他アジア諸国で「安心安全」のブランド品として高価に取引されています。同様に、制度さえ整えば、アジア諸国から日本で安心安全の医療を受けようとくる人もいるではないでしょうか。これらの人は、自由診療で20割負担でも30割負担でも支払いをしてくれるでしょう。
そして、この外国人の医療で生じた剰余金を日本の恵まれない患者さんの治療や医療スタッフの雇用にまわせば、日本の健康保険制度による診療制度は維持できるのではないでしょうか。
これまで、メディカルツーリズムは、安価な医療を求めて欧米からタイやインドを訪れることが主体でした。今後は、安心安全を求めて外国人が来日するモデルも作れるのではないでしょうか。
国際的には競争力のある商品として、国内的にはフリーアクセスと良質で安価な医療提供との2つのダブルスタンダードを提供することは不可能ではないはずです。
なお、こうした国際的な患者の受け入れには、国際空港の近くの医療施設が候補となるでしょうが、国際空港がある成田、泉州、千歳などが考えられると思います。
平成19年の通商白書(経済産業省)では、以下のくだりがあります。
〜アジア諸国における医療サービスの現状〜
欧米と同等の水準の先進・高度医療サービスを自国よりもはるかに低い費用で受けられることから、近年、健康・医療目的でアジア諸国を訪れる外国人旅行者数は急増している。2006 年中に医療サービスを受ける目的でアジア地域を訪れた外国人旅行者数は180 万人に達し、その市場規模は約68 億ドルに上るとされる。
アジアを訪れる患者数増加の背景には、欧米等先進国における高額な医療費負担を少しでも減らしたい企業側の事情がある。特に、医療費が高額な米国では、従業員が医療費の低い海外で治療を受けることで約8 割のコスト削減効果があると言われている。
このため、従業員に対し、医療費の安いアジア等の海外で治療を受けることを推奨する企業が増えており、旅行代理店などが医療機関と共同で、現地での観光が組み込まれたメディカル・ツアーを企画するなどして積極的な市場開拓が行われている。
インドも、シンガポールと同様、海外からの健康・医療サービス需要の取り込みに力を入れている。インドでは、好調な経済を背景に、充実した医療設備を整えた
また、高度な医療病院が増えており、熟練・熟達した医師の養成も積極的に行われている。サービスが欧米よりも安く、しかも短い待ち時間で受けられることが、多くの患者を海外からインドに惹きつける魅力となっているとされる。
インド政府は、こうしたメディカル・ツーリズムを経済活性化の鍵として重視しており、インド国内のリゾート観光等とも結び付けた形で促進しようとしている。インドを訪れる人が増えれば、目覚ましい経済発展を遂げているインドの魅力がより多くの人々に認知されることにもなる。
インド政府によれば、インドのメディカル・ツーリズム分野は、年間30% の成長を実現している。
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