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日本医療総合研究所 取締役社長 中村十念
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メタボ健診を機に、世の中に健診代行会社になるものが林立している。
健保組合と医療機関の間に立って、健康診断の仲介ビジネスを行おうという目論見のようだ。事務体制が手薄な健保組合がアウトソーシング先として利用するケースが増えているという。
この健診代行会社は幅広く医療機関をネットワーク化する必要があるので、医療機関にはいろいろな健診代行会社から契約書が送られてくる。
「当社とご契約いただけると健診の顧客を紹介しますよ」という寸法だ。(逆に「当社とご契約いただけないと、健診の顧客を失いますよ」と脅されている医療機関もあるが。)
総じてマーケティング力の弱い医療機関にとっては、医療需要が減る中、健診代行会社の誘いは濡れ手に粟と映るのであろう。健診代行会社と契約する医療機関も増えているという。
ところが、落とし穴がある。健診代行会社によっては(あるいは、ほとんどの健診代行会社が)、個人の健診情報を代行会社に送付するよう契約書の中に謳っている。
健診代行会社との契約書を医師がチェックしていれば、このことは第三者への秘密情報の漏洩に当たり、刑法134条に定める守秘義務違反だとわかる。
しかし、残念ながら事務レベルで対応している医療機関が多く、問題意識もなく契約書にハンコを押しているのが実情だ。
既に個人の医療情報がシステマチックに第三者に漏洩している。それどころか知らぬ間に情報漏洩に医師が自動的に組み込まれているのだ。
健診代行会社と契約している健保組合にもいくつか取材してみたが、組合員等の秘密情報を守ることより、業務の効率化を優先している雰囲気であり、組合側の問題意識も高いとは言えない。
健保組合と医療機関の双方の問題意識の低さが、守秘されるべき国民の医療情報を危機に陥れている。
医師は、医師法21条に関し、その法的取り扱いに脇甘く対応し、逮捕者まで出してしまった苦い体験がある。
健診代行会社は医療機関に、電子データの提供を求めているため、漏洩事故発生の可能性は極めて高く、一度発生すると拡がりに歯止めがきかない。
大事に至らぬ前に、健診代行会社との契約書を医師の目でチェックし、予防的な態度で医療情報漏洩に対応すべきだ。
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