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(掲載日 2009.09.29)
日本遠隔医療学会学術大会について
投稿者 医療法人祐基会 帯山中央病院 田代祐基

 本年10月10日(土)と11日(日)の両日、鶴屋デパートに隣接したパレアホールで「JTTA2009 in KUMAMOTO」として日本遠隔医療学会学術大会が開催されます。

 本大会は日本医療情報学会から派生したテレメディシン領域の学問で、距離と時間を超えて医療情報が音声や画像等の形で交信出来る環境で、医療を行うことを支援する情報システムです。

 最近の話題からみれば何ヶ月にも及ぶ、宇宙ステーションにおける若田さんの遠隔操作による健康管理を思い出せば良いでしょう。

 米国ヒューストンのNASAでは宇宙飛行士の心電図や脈拍・呼吸・血圧などを観察し、宇宙ステーションにおける生体情報や作業中の映像などを、実時間で観察し、異常が発生すれば直ちに対応出来るような医療体制もしかれています。

 Telescope (望遠鏡)Telephone(電話)Telegram(電報) ,Television, Telepathyなど遠隔(Tele)を語源にした様々な言葉があります。

 遠隔医療はTelemedicineとされます。

 さて本学術大会では、大会初日、ボストンで同時刻に行われている国際医療通訳士協会の学会と熊本会場との実時間におけるテレビ会議を行います。

 熊本在住の外国人を患者にみたてて、細やかな病状の訴えなどを中心に患者と医師が外国語で対面診療を行いこれを遠隔で通訳して医療通訳の有用性を確認します。

 遠隔医療通訳を実現する為には、ある程度の医療知識があり、多彩な言語を話せる必要があります。

 一般的に保険診療は医師と患者が対面して診断・治療へと展開されるものですが、初回診療後の遠隔診療が医療法でどこまで容認されるのかも、学会と厚労省との話し合いの現状がガイドラインで話題になります。

 今回の学術大会のメインテーマは“少子高齢化社会を支援する遠隔医療”としており、熊本で先行している様々な地域医療連携を情報通信技術や遠隔医療が如何にサポート出来るかを考えます。

 具体的には、糖尿病患者をめぐる専門医と連携医との地域連携パスや、がん患者在宅療養とクリティカルパスなど、地域住民の目線で問題提議が行われます。

 また画像遠隔医療の企画では、CTやMRI等の画像診断機器を有する医療施設の質を確保するものとして、遠隔画像診断センターが稼動しており、放射線科専門医による医療画像の読影技術が生かされている現状を学べます。

 NEXT熊本企画の特別セッションでは“モバイルコミュニケーションと医療”というテーマで1億台は普及しているといわれる携帯電話が救急医療や在宅医療の現場などに役立っている現状について、医療情報システム開発センターの遠藤理事長の基調講演があり、分科会として過疎地・離島医療ネットワークの話題や、医療や福祉を支援するロボット技術の現状にも触れます。

 本学術大会が行う市民公開講座では、県医師会の北野邦俊会長と熊本県健康福祉部の森枝敏郎部長との対談で、昨今の“地域医療崩壊への対応”。また昨年からパンデミックの状態を予測した“新型インフルエンザの恐怖とその対策”と二つのテーマを企画しております。

 会員の先生方には九州では初めて開催される今回の日本遠隔医療学会熊本大会にぜひ御参加戴き、遠隔医療への知見を深めて下さるようお願い申しあげます。
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