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東京・赤坂の寿司店主が食に関連する、ちょっとした豆知識を語ります。
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「盛り塩」「助六」の話
○盛り塩の話
暖簾をくぐって店に入ったところに、塩が盛ってあるのを見たことありますでしょう。この「盛り塩」の始まりは、平安時代、家の入り口の前に、牛車の牛が舐めるための塩を盛ったことなんです。
帝には、側室がたくさんいました。当時の結婚は、男性がご婦人の家まで通うのですが、帝も牛車に乗って通っていたわけです。しかし、相手が、たくさんいるものですから、ご婦人のほうは、いつ帝が自分のところに来てくださるかわからない。
ある日、そのうちの一人が、自分の家の前に塩を盛って置いたそうなんです。すると、帝が乗った牛車の牛がそこで塩を舐め始め、動こうとしない。そうしましたら、帝が「今日はここにしよう」と、その日は、その家に立ち寄ることに決めたそうなんです。
そう、牛は塩を舐めるのが好きなんですね。人間も疲れたときには塩分を摂りたくなるものですが、牛車を引いて牛もさすがに疲れたのでしょうか。おかげで、その家にいた側室が喜んだわけなんですよ。このお話のように、飲食店は、「お客様に来てもらえますように」との願いをこめて、塩を入り口付近に盛るようになったということです。
牛の話が出たので、ついでに道草の話をしましょう。「道草を食う」って言いますでしょう。途中で他の事に時間を費やすことを言いますが、これも、牛や馬が道々草を食(は)んで進むところから来ているようです。
○助六の話
昔から、おいなりさんと太巻きを合わせて一人前のセットになっています。これを「助六」と呼びます。
むかし、吉原という遊郭があって、その中で一番の花魁(おいらん)を揚巻と言ったんですね。この揚巻に惚れ込んだのが助六。お金と暇さえあれば、揚巻のところに通っていた。
揚巻の「揚」は、油揚げの「揚げ」。「巻」は巻物の「巻」。で、おいなりさんと太巻きのセットで助六って呼ぶようになったんですって。
掲載日:2006年10月06日
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