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工藤高の
外来点数マニュアル
このコーナーでは「
知る権利に答える 外来点数マニュアル
」(著者:工藤高 日本医療総合研究所 主席研究員、発行:
日本医療総合研究所
、製作:
東京法規出版
、定価:3,000円、税込み)をベースに、著者、工藤高氏による点数の疑義解釈等に関する最新情報のほか、先見創意の会会員はじめ、読者の皆様方とのQ&Aを随時掲載します。
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第2回
「在宅療養支援診療所をどう評価するか」
『
外来点数マニュアル
』64p「在宅療養支援診療所」参照
今次改定は診療所経営にとって診療報酬史上初の初診料点数引き下げや再診料引き下げと他にも検体検査、処方せん料、画像診断におけるデジタル加算引き下げなど、点数アップ要素はほとんどない厳しい内容となった。その中で唯一プラスの可能性と言えるのが連携先医療機関とともに24時間体制で往診、訪問看護、緊急入院が可能な体制を評価した「在宅療養支援診療所」である。在宅療養支援診療所自体は届出しても点数単独評価はないが、次の在宅関連点数が未届医療機関と比較すると高く設定されている。
<在宅療養支援診療所の点数 ( )は未届の場合の点数>
(1)
在宅時医学総合管理料(月1回)
院内処方
4,500点
(未届2,500点)
院外処方
4,200点
(未届2,200点)
(2)
往診料の加算
緊急往診加算
650点
(未届325点)
夜間加算
1,300点
(未届650点)
深夜加算
2,300点
(未届1,300点)
(3)
在宅患者訪問診療料の加算
在宅ターミナルケア加算
10,000点
(未届1,200点)
(2)(3)は連携医療機関の医師が行った場合でも算定可能であり、他にも「在宅末期医療総合診療料」は在宅療養支援診療所だけが届出でき、「地域連携退院時共同指導料1、2」は高い点数、「緊急訪問看護加算」等が算定できる。
新設された在宅療養支援診療所に対する医療現場の評価として、これまでもほぼ24時間体制で地域において往診体制や訪問看護体制を確保して、在宅での看取りを実践してきたところでは、自分たちの努力が評価されたと歓迎する医師が多い。ある医師は在宅療養支援診療所のことを「地域における病棟」と表現していた。全日本病院会が「地域一般病棟」を提唱していたが、それは病院内の病棟を指していた。
これに対して、在宅療養支援診療所では自宅が地域における病棟のベッドのひとつという考えであり、ナースコールを押す感覚で電話をすれば直ちに医師や看護師がかけつけるというわけだ。これからの在宅医療のさらなる充実を図るために在宅療養支援診療所の果たす役割は大きいが、その一方で「医療現場にとって24時間体制はきびしい」「高点数は算定できるが、その分、患者さんの自己負担増になる」という意見もある。
実際に30人の在宅患者に対して月2回以上の訪問、緊急等往診合計12回、2人を看取った診療所の改定前点数と在宅療養支援診療所届出後を比較すると約41万円の増収になる。この増収は24時間体制をひいて、実際に緊急往診を行った労働コストに対する成果的な報酬となる。反対に24時間対応しない場合、改定前の在総診点数と比較すると点数を大きく引き下げている。
今回の在宅療養支援診療所の点数配分は療養病床38万床から15万床へという削減方針の遂行により、医療機関からの退院を余儀なくされる患者の受け皿としての充実を図ることが目的であることは明らかだ。たしかに在宅での看取りを希望される患者や家族にとって在宅療養支援診療所は大きな力になるが、核家族化や1人暮らしで在宅療養が不可能な患者へのセーフティネットも当然ながら残しておく必要があるのは言うまでもない。これからの医療制度は「オール・オア・ナッシング」ではなく、多様化する患者ニーズにどう細かく選択肢をつくっていくかが重要になると思う。
掲載日:2006.04.25
1958年生。81年日本大学経済学部経済学科卒業、(医)河北総合病院医事係長、亀田総合病院の分院医事課長、情報企画室室長など計18年の病院勤務を経て、05年より鞄本医療総合研究所主席研究員(専門は診療報酬制度)。他にメディカル・マネジメント・オフィス代表、関東学院大学大学院経済研究科、大東文化大学環境創造学部、早稲田速記医療福祉専門学校で非常勤講師を務める。主な著書は、「楽しく分かる医療経営(雑)学」(医療タイムス社)、「2006年診療報酬改定のポイント解説とシミュレーション」(日本医療企画)など多数。
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