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病院で何気なく目にする様々な医療機器、その仕組みや原理等を分かりやすく解説します。
(解説者:医師 北村 大也)
第1回
『AED(自動対外式徐細動器)』
連載1 ― 「AEDが街に出た」
(掲載日: 2007.02.02)
AEDって聞いたことありますか?
注意して見てみると、駅や病院など公共の場所に設置してあるはず(図1)。でも、これがそもそも何なのか知らないという人が多いのではないでしょうか。
1.AEDとは、何?
AED(Automated External Defibrillator)は、心臓が止まりかけた状態(心室細動)のときに“除細動(電気ショック)をかける機械”で、日本語では「自動体外式除細動器」と言います。
除細動をかけるシーンは、意外にもテレビドラマなどで目にしている人も多いと思います。
「先生、心臓が止まっています!!」
という看護師の言葉に、主人公の医師が
「動けー」
と叫びながら除細動をかける。すると心臓が再び動き出す、あの治療のことです。
ところで、昔は病院などにしかなかった除細動器が、最近街中に設置されるようになったのは、どうしてなのでしょうか?
その答えを、全5回の連載の中で明らかにしていこうと思います。
2.AEDは誰のためのもの?
「自分は医師でも救急救命士でもないから関係ないでしょう?」
そう思った人もいるかもしれません。でもそれは大きな間違いです。AEDは、“一般の人々が使うため”に設置されたものなのです。
以前は、医師や救急隊員(医師の指導の下)だけが使用できる機械でしたが、2004年7月の法改正で、一般市民も使うことができるようになりました。このことで“心肺停止患者の救命率が上昇すること”が期待されています。
さて、心室細動や除細動など、早くも専門用語が出てきました。AEDや心肺蘇生について説明する前に、まずはいくつかのポイントを抑えておきましょう。
3.心臓の構造と働き
心臓は血液を全身に送り出す臓器です。ポンプのように規則正しく収縮して血液を拍出します。
右心系(右心房・右心室)と左心系(左心房・左心室)の2つに分かれていて、全身を巡って酸素が薄くなった静脈血は右心房に入り、右心室から肺に送り出されます。そして肺でたっぷりと酸素を含んだ血液は左心房に入り左心室から全身へ送り出されます(図2)。
では、心臓の収縮はどのようにコントロールされているのでしょうか。
心臓自体は筋肉の塊で、この筋肉でできている心臓を略して「心筋」と呼びます。心筋は、非常に多くの心筋細胞から構成されています。
心臓が収縮するとき心筋細胞自体はそれぞれが収縮する一方、近くの心筋細胞に収縮するように“電気信号(電気的な刺激)”を伝えます。つまり、心筋細胞はそれ自体が収縮するバネでありながら、電気を伝える“電線”の役割も果たしているわけです。
右心房にある洞房結節が発電所です。洞房結節で発生した電気信号が心筋細胞に伝わって、心臓の規則正しいリズム(拍動)が生まれます(図3)。
<POINT!>
※ 洞房結節(発電所)から心筋細胞(電線)に、電気的な刺激(電気信号)が伝わって、心臓の規則正しい収縮が生まれる。
心臓の全体像が見えてきましたね。
次回は「心臓が止まるとは、どんな状態のことを言うのか?」について説明したいと思います。
連載2 「心臓が止まるとは−その医学的定義−」 >>
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