www.senken.net サイト内
web全体
メニューの表示にはjavascriptを使用しています。
javascriptの使用をonにしてリロードしてください。
<< トップへ戻る
医療メカトロニクスバックナンバー一覧へ >>
病院で何気なく目にする様々な医療機器、その仕組みや原理等を分かりやすく解説します。
(解説者:医師 北村 大也)
第4回
『CT(コンピュータ断層撮影)』
連載1 ― 「CTで体の輪切り像を見る」
(掲載日: 2007.05.11)
夜間や休日の救急外来において、「子どもが頭をぶつけた」「頭痛はくも膜下出血が原因かも」などと言って来院された患者さんからの希望が多い検査にCT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)があります。確かに、頭蓋内出血の有無を判断するのに一番有用な検査は頭部CTです。一般的にも、このように広く認識されているようです。
とはいえ、実際にCTを撮った方は少ないと思います。そこで今回は、知っているようで知らないCTの話をしたいと思います。
1.CTの原理
CTは、どんな原理を用いて人体の内部を見ることを可能にしているのでしょうか?
CT検査ではX線を用いています。
X線は放射線の1種で、その性質に透過性があります。人体を通り抜けるときに、その組織に応じてX線は吸収されていきます。最終的に人体を通り抜けたX線を写真に写せばX線写真になります。がん組織は通常の軟部組織よりもX線を通しませんので、X線撮影では周りと区別されて写ります。
CTでは照射したX線を検出器で検出し、コンピュータで処理することにより体の輪切り像(断面像)を作り上げます[Tomography(断層撮影)とは、輪切りの像を撮影する撮影法のことを言います]。
X線写真では、体の厚み全体が重なった像として写し出されましたが、CTは断層写真のため、
@
奥行きのある情報を得ることができる
A
いろいろな臓器の重なりが問題になることなく、体の中を見ることができる
などの利点があります。
これらのことから、CTはX線写真で見えなかった小さな病気や微細な病変(例えば数ミリのがん組織)を知ることができることから、診断に活用され、病気の診断に必要不可欠な装置となっています。
2.検査方法
X線写真では1方向からしかX線を照射しませんが、CT検査では1つの断面に360度全方位からX線を照射します。
X線の線源(X線管球)を360度回転させながらX線を照射し、体を透過したX線量を検出器で検出していきます(=これを「スキャン」と言います)(図1-a、b)。
断面の中の各部分はX線の吸収率がそれぞれ違うので、検出器が検出する値は当然変わってきます。断面を格子状に分割し、それぞれの部分の吸収率を未知数とした方程式をコンピュータで解くことにより各部位の吸収率が判明します。
体の断面像は、この吸収率の違い(X線の通りやすさ、通りづらさ)を白黒の濃淡で表します(図2)。
X線の吸収率のことをCT値と言い、単位は開発者(G. N. Hounsfield)の名にちなみHU(Hounsfield unit)で表します。空気は−1000HU、水が0HUと定義されています。
さて、実際のCTは図3のような概観です。ドーナツ状に穴の開いた機械本体とそこへ人を移動させるための可動式の寝台があります。
<POINT!>
※
CTはX線管球からX線を人体に照射し、その透過X線を検出器で検出し、さらにコンピュータで断層画像(体の輪切り像)を作り上げる装置。
※
測定の原理は、360度の全方位から組織のX線透過率をコンピュータで計算し、各部位の吸収率を求め、これらを集合して断面像として表示したもの
基本的な話は以上ですが、CTも開発当初よりどんどん進歩しています。次回は、開発の経緯に沿って、CTの原理をもう少し詳しく説明していきます。
連載2 「CTの進化>>
メニューの表示にはjavascriptを使用しています。
javascriptの使用をonにしてリロードしてください。