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医療メカトロニクスバックナンバー一覧へ >>
病院で何気なく目にする様々な医療機器、その仕組みや原理等を分かりやすく解説します。
(解説者:医師 北村 大也)
第4回
『CT(コンピュータ断層撮影)』
連載4 ― 「次世代CT 」
(掲載日: 2007.06.01)
<< 連載3 「2次元画像から3次元画像へ」
1.X線ビームの進化
ハンスフィールドのスキャン方法は、直線状のX線ビーム(ペンシルビーム)を使う1次元の方法です。ですから、断面像という平面(2次元)のデータを得るのに2段階、立体(3次元)の情報を得るためにはもう1段階増えて3段階必要です。
次の世代で使われた扇状のビーム(ファンビーム)は、一度に平面のデータを取得できるので立体の情報を得るのには2段階で済みます。
現在、マルチスライスCTで使用されているX線は体軸方向にも少し厚みを増やしたナロウコーンビームと言います。これによりCTの撮影時間はだいぶ短縮されました。しかし、これもまだ移行段階です。
CTがさらに進化を遂げて、1回転で特定の臓器全体をカバーするコーンビームを使用できれば1段階で立体のデータを取得することが可能になります(図7)。
そうなれば、時間経過も含めた4次元のデータを取得し、心臓の動きなどをビデオで再現するCTが可能になります。4次元CT…なんか、格好よくないですか?
2.3D(3次元)とMPR(任意断面再構成)
図8−a〜cを見てください。
今のCTは内臓だけ、血管だけ、骨だけといった3D画像を作り出すこともできてしまいます。撮影方法の進歩により詳細なデータが取得できるようになったことやコンピュータのソフトの進歩により、ここまで詳細な3D画像を作ることが可能になりました。また、輪切りの断面像だけでなく任意の断面の画像も見ることが可能です。
筆者は整形外科医ですが、関節内の複雑な骨折などの評価にとても有用です。模型を見るような感覚なので、患者さんにとっても分かりやすくなったように思います。
<POINT!>
※
多数の断面を短時間に撮影するために、円錐状のビーム(コーンビーム)を用いる方法が行われている。
※
コーンビームを1回転させるコーンビームCTにより立体(3次元)のデータを収集することが可能になれば、コーンビームを連続回転することにより、4次元データを得ることも可能になるだろう。
※
マルチスライスCTの画像から3D画像を構築し、任意の面で切った画像(MPR)を作成するような画像操作が可能となり、患者さんへの治療内容の説明に大きく寄与している。
■おわりに
さて、これでCTの回は終了です。CTとX線写真は同じX線を利用しています。X線写真と比べて線量が多いCTは、放射線被ばくにはやや注意が必要です。
しかし、CTは非常に有用な検査で、現在の医療においてCTのない医療は考えられません。よくMRIと混同されることの多いCTですが、今回の連載と次回のMRIの連載で理解を深めていただければ幸いです。
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