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病院で何気なく目にする様々な医療機器、その仕組みや原理等を分かりやすく解説します。
(解説者:医師 北村 大也)
第6回
『医療用超音波』
連載8 ― 「超音波による治療」
(掲載日: 2007.08.31)
<< 連載7 「超音波検査の原理(その3)―カラードプラ法―」
超音波は生体内の深い所まで到達し、組織に様々に作用します。超音波の効果は、「温熱効果」と「非温熱効果」の2つに分けられます。
(1)温熱効果
超音波は生体組織内で吸収され、熱エネルギーに変わります。この熱エネルギーにより生体内の温度が上昇し、疼痛や筋肉のスパズム(筋肉が緊張した状態)の軽減作用が起こると考えられています。ホットパックなどで皮膚表面から直接温めるより、深部の温度上昇を促すことが可能です。
超音波は水分の多い組織ではあまり吸収されず、コラーゲンの多い組織でよく吸収されるので、腱・靭帯・関節包・筋膜などの加温に適しています。こういった性質を利用して、整形外科領域では、除痛や柔軟性の確保を目的として超音波治療器が使用されています。
(2)非温熱効果
超音波によって生じる機械的な刺激が生体に作用すると、その微小な刺激により傷ついた組織の治癒を促します。また、骨の成長を刺激することも分かっており、骨折の遷延治癒や偽関節の治療に使用されています。眼科では、さらに強い超音波を使用し、白内障の手術を行っています。濁ってしまった水晶体を超音波で砕いて吸引し、その後に人工のレンズを挿入します。
<POINT!>
※
生体組織内に吸収された超音波の振動エネルギーは、熱エネルギーに変換される。
※
超音波療法の効果には、温熱効果と非温熱効果とがある。
※
「温熱効果」:コラーゲン含有量の高い組織(腱・靭帯・関節包・筋膜など)に加温の効果がある。
※
「非温熱効果」:組織の治癒、骨の成長を促す。
■おわりに
さて、今回の超音波の話はいかがだったでしょうか? 「超」がつくとは言っても、そんなに難しい理論ではなかったと思います。超音波が自分の体にどのように作用するのか、読者の皆さんのイメージの助けとなれば幸いです。
■参考文献■
1)山本明利,左巻健男(編著):新しい高校物理の教科書.講談社,2006.
2)M.H.Cameron(著),渡部一郎(監訳):EBM物理療法(原著第2版).医歯薬出版,2006.
3)伊東紘一,平田經雄(編):基礎超音波医学.医歯薬出版,1998.
4)伊東紘一,入江喬介:超音波検査入門(第3版).医歯薬出版,2000
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