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病院で何気なく目にする様々な医療機器、その仕組みや原理等を分かりやすく解説します。
(解説者:医師 北村 大也)
第7回
『血圧計』
連載5 ― 「血圧の測定方法」
(掲載日: 2007.10.05)
<< 連載4 「血圧のしくみ」
1.観血的方法と非観血的方法
(1)観血的方法
血管の中を流れる血液の圧を測定する場合、血液は流体なので血管内に小さな管を留置する必要があります(図11)。これにより全圧を測定することが可能です。
実際、手術直後で全身状態が安定しない患者などは、手関節にあるとう骨動脈にカニューレ(細い管)を留置し、経時的に血圧を測定しています。この方法を「観血的方法」と言います。
(2)非観血的方法
しかし、血圧を測るために毎回針を刺すわけにもいきません。そこで、普段の血圧測定では上腕部に幅広い加圧帯を巻いて静圧のみを測定しています。これを、「非観血的方法」と言います。
静圧は側面の圧と同じなので、「側圧」とも言ったりします。この場合、動圧は無視することになってしまいますが特に問題はありません。というのも、一番流れの速い大動脈でも動圧は4mmHg位とされているからです(詳しい計算は、流体力学や生理学の知識と計算が必要になるのでここでは省きます)。
(3)測定部位
また、血圧はある血管内における圧力を測定しているため、当然測定した場所ごとに値は異なります。動脈の血圧と静脈における血圧はまったく違います。
一般的に、血圧と言った場合は動脈血圧のことを指しており、さらには、主に上腕で測定した血圧を指しています。
2.血圧測定(非観血的)の原理
普段目にする血圧計では、「聴診法」と「オシロメトリック法」の2つの方法が主に用いられています。
聴診法は、病院の水銀血圧計(図12)や家庭用の自動血圧計でも使用されている最もポピュラーな方法です。一方、オシロメトリック法は自動血圧計(図13)に使用されています。
(1)聴診法
聴診法は、1905年にロシアの外科医コロトコフが発表した間接的血圧測定法です。上腕にカフ(加圧帯)を巻き、聴診器で肘の動脈の音を聞きながら圧を上昇させていきます(図14)。すると、ある時点で血液の流れは遮断され音が消失します。そこからさらに圧を上げ、その後その圧を徐々に弱めていくと、その一連の動作の中で聴診する音が様々に変化します。
Swan第一点
最初に血管音が聞こえる。このときの血圧が収縮期血圧。
Swan第二点
濁音に変化する。
Swan第三点
鋭い清音に変わる。
Swan第四点
音が急に減弱する。
Swan第五点
音が消失する。このときの音が拡張期血圧。
発見したコロトコフの名前をとって、この血管音は「コロトコフ音」と呼ばれます。なぜ音が変化するのか?実は、この原理については詳しいことは分かっていません。いろいろな考え方があるのが現状です。
(1)オシロメトリック法
カフを巻き、圧を変化させることは、聴診法もオシロメトリック法も変わりません。オシロメトリック法の場合は、振動の変化を測定します。
上昇させたカフの圧を減じていくと、ある点でカフが急激に振動します。このときの血圧が収縮期血圧です。さらに圧を減ずると、その振動が急激に低下します。このときの血圧が拡張期血圧です。聴診法は100年の歴史のある検査ですが、近年はオシロメトリック法を利用した自動血圧計も増えてきています。
■おわりに
圧力から始まって、血圧、血圧測定まで話を進めてきました。人間の体内には、約5リットルもの血液が毎日循環しています。また、心臓は人が死ぬまでその収縮と拡張を止めません。その年数は、80年近くにも及ぶわけです。
心臓の収縮によりダイナミックに送り出された血液は、末梢の毛細血管では血流速度が遅くなり物質交換が効率的に行われる…。その精緻なシステムは、勉強すればするほど驚きを禁じえません。
<POINT!>
※
血圧の測定方式には、「観血的方法」と「非観血的方法」がある。
※
一般的に行われる方法は非観血的方法であり、その原理には「聴診法」と「オシロメトリック法」が用いられている。
「聴診法」:血管音(コロトコフ音)を聞いて測定する。病院では通常、この方法が採用されている。
「オシロメトリック法」:動脈壁の振動をセンサーでキャッチして測定する方法。
次回の連載は、血液中の酸素濃度に関わる機器「パルスオキシメータ」についてです。
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