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病院で何気なく目にする様々な医療機器、その仕組みや原理等を分かりやすく解説します。
(解説者:医師 北村 大也)
第3回
『体温計』
連載2 ― 「発熱のメカニズム」
(掲載日: 2007.04.20)
<< 連載1 「体温調節のメカニズム」
今回は、「発熱とは何か」について説明していきます。
1.発熱の分類
一般的には、発熱というと平常より体温が高い状態のことを指します。その原因には、「発熱」と「うつ熱」があります。発熱の原因が発熱?混乱しそうなので、前者を「高体温」と言い換えましょう。
つまり、高体温の原因には「発熱」と「うつ熱」の2つがあるということです。
2.高体温の原因
(1)発熱
体温の設定温度を決めているのは、脳の視床下部に存在する「体温調節中枢」です。
発熱は、体温の設定温度が高くなることです。普段の設定温度(37度)が、何らかの原因により高い温度に変更されると、体温が上昇します。
暖房器具を例に考えてみましょう。設定温度を高くすると、温風を強く吹き出して、周囲の温度を上げるように働きます。
人間の場合、体温調節中枢は、体温を高くしようとして皮膚血管を収縮させ、「ふるえ」を起こします。発熱は、多くの場合、風邪などの感染症で起こりますが、発熱の初期に悪寒がしてふるえるのはこういった作用によります。
感染症や悪性腫瘍などで設定温度が上昇するとき、体内にはいろいろな反応が起こっています。
最終的に、プロスタグランジンが体温調節中枢に作用して、設定温度を上げると考えられています。ちなみに解熱薬のアスピリンは、このプロスタグランジンの産生を抑えることで、熱を下げます。
(2)うつ熱
うつ熱は、熱の流入・産生が多すぎて体温調節を行っても体温を下げられない状態です。
炎天下で運動を行った場合などがよい例です。体は汗をかいて(熱放散のしくみを最大限に働かせて)体温を下げようとしますが、気温が異常に高く、運動により筋肉からどんどん熱が産生されている状況では、体温が思うように下がらず上昇していきます。
エアコンをどんなに働かせても温度が下がらない部屋のようなものです。
夏になると熱中症のニュースをよく見かけますが、熱中症はまさにうつ熱によって引き起こされています。重症になると、命にかかわる場合もあります。体温を下げるためには体を冷やすしかありません。前述の解熱薬はまったく役に立ちません。
<POINT!>
※
体温は、体温調節中枢において設定されている。
※
高体温の原因には「発熱」と「うつ熱」の2つがある。
「発熱」:通常の設定温度が狂ってしまうことにより体温が上昇する。
「うつ熱」:熱放散のしくみを最大限に働かせても、体温が思うように下がらずに上昇する。
さて、次回はいよいよ本題の体温計についてです。
連載3 「体温計の原理(その1) ―水銀体温計、電子体温計―」 >>
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