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医療機器メカトロニクス
病院で何気なく目にする様々な医療機器、その仕組みや原理等を分かりやすく解説します。
(解説者:医師 北村 大也)
第6回 『医療用超音波』  
連載4 ― 「超音波は音の仲間(その2)―音波の性質―」
(掲載日: 2007.08.03)
<< 連載3 「超音波は音の仲間(その1) ―音の正体―」

1.波の反射

 音波は、異なる媒質の境界面で「反射」や「屈折」を起こします(図8)。どれくらい反射するかはそれぞれの媒質の抵抗値(音響インピーダンス)の差によって決まります。

 音響インピーダンスは媒質に固有の値で、接する媒質の音響インピーダンスの差が大きいほど反射率は高くなります。

 超音波検査の原理は、「反射」が重要なキーワードです。今回の連載原稿を1文で書けと言われれば以下のとおりです。

 「超音波検査は生体内に超音波を照射し、反射した超音波を測定することにより断層像を得ます。」

2.波の回折

 音波も含めて波には「回折」という現象もあります。

 (1)球面波と平面波

 回折の原理を説明する前に、まずは球面波と平面波の原理を理解しておきましょう。

 小さな音源から音波を発生させると、波は球の形をしています。これを「球面波」と呼びます。しかし、音源から非常に離れた場所では、音波は平面の形をしています。これを「平面波」と呼びます。電球の光は球面波ですが、太陽光は平面波みたいなものです(図9)。


 
 平面波の音波が直進してきて障害物に当たるとその障害物の裏にも音波は届きます。障害物のある点で新しい球面波が発生し、障害物の裏にまで波が伝わっていくからです。

 (2)回折

 回折は、障害物の大きさに比べて波長が長いほどはっきりしてきます。波長が短ければ目立ちません。

 光は波長が非常に短いため、障害物の裏に届かず影ができるわけです(図10-a)。

 一方、普段聞いている音波の波長は前述のとおり17mm〜17mなので、よく回折します。壁の後ろにいても、壁の向こう側の声は聞こえるというわけです(図10-b)。

 これで音波の基本的な話はおしまいです。次回からは、いよいよ超音波の話に移っていきたいと思います。

<POINT!>
 音波の反射の度合いは、反射する境界での物質(媒質)の音響インピーダンスの差で決まる。
 超音波検査は生体内に超音波を照射し、反射した超音波を測定することにより断層像を得る。
 一般的に音波は四方八方に均等に球状に広がってゆく。この波を「球面波」と呼ぶ。球面波は、十分に離れた所ではほとんど平面的であり、これを「平面波」と呼ぶ。
 回折は、波が障害物の裏にも回り込んで伝わる現象。
連載5「超音波検査の原理(その1)―超音波診断装置―」 >>
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