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病院で何気なく目にする様々な医療機器、その仕組みや原理等を分かりやすく解説します。
(解説者:医師 北村 大也)
第6回
『医療用超音波』
連載6 ― 「超音波検査の原理(その2)―超音波の欠点―」
(掲載日: 2007.08.17)
<< 連載5 「超音波検査の原理(その1)―超音波診断装置―」
1.気体や骨の影響を受ける
前回までに述べてきたとおり、超音波は音響インピーダンスの差が大きいほど反射率が高くなります。
検査で問題となってくるのは気体や骨です。これらは他の組織との音響インピーダンスの差が大きく、気体や骨があると、そこで超音波はほとんど反射されてしまい、その奥の組織は見ることができません。そのため、プローブと体の間に隙間ができないようにする必要があります。
検査のときに使用するエコーゼリーは、プローブと体の隙間をふさぐために使われます。これにより、プローブの動きも滑らかになり患者さんに負担をかけずに検査が行えます。
生体内にも腸管ガスや肺など気体は存在するのでそれらを考慮しながら検査する必要があります。
2.減衰
超音波は生体内を進んでいくうちにその強さを弱めていきますが、この現象を「減衰」と呼びます。
減衰の原因には拡散減衰・吸収減衰・散乱減衰があります。生体組織内ではこれら各種の減衰を分離して測定することはできませんが、これらを合わせて考えるとだいたい周波数に比例しています。
つまり、周波数が高くなるほど減衰しやすくなるということです。それぞれの減衰を簡単に解説します。
(1)拡散減衰(図14)
球面波では、音源から距離が離れるほど超音波は拡がるため減衰していきます。
(2)吸収減衰(図15)
媒質中の微小粒子が振動して超音波を伝える場合、超音波のエネルギーの一部は熱などに変わるため、減衰していきます。伝わる媒質によって吸収減衰は変わってきますが、水中での吸収減衰はほとんど無視できます。
(3)散乱減衰(図16)
生体内の組織は均質な媒質ではなく、微小な反射体群からなる不均質な組織です。媒質どうしの境界面からも反射は起こりますが、不均質な媒質中からも反射は起きます。この反射は一方向だけでなく様々な方向に反射波を出すので散乱と言います。
「1.気体や骨の影響を受ける」で述べた反射は、超音波が来た方向に戻っていく反射です。後ろに戻っていく散乱なので後方散乱とも言います。気体や骨は後方散乱が大きいため、その先の組織を見ることができないと言い換えることもできます。
<POINT!>
※
骨や空気は軟部組織と比べ、音響インピーダンスが大きく異なるため、超音波をほとんど反射させてそれ以上通さない。このため、気体や骨などの部位は映像化できず検査の妨げとなる。
※
減衰とは、超音波が生体内を進んでいく過程で、拡散・吸収・散乱などにより、強度が弱まること
連載7「超音波検査の原理(その3)―カラードプラ法―」 >>
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