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医療メカトロニクスバックナンバー一覧へ >>
病院で何気なく目にする様々な医療機器、その仕組みや原理等を分かりやすく解説します。
(解説者:医師 北村 大也)
第8回
『パルスオキシメータ』
連載3 ― 「色識別の視覚メカニズム」
(掲載日: 2007.10.26)
<< 連載2 「色と光の関係」
1.網膜の働き
眼に入った光は、網膜上にある視細胞を刺激します
(図6-a)
。視細胞はそれを電気信号として脳に送り、脳がその情報を処理することにより物体の位置や色を認識します
(図6-b)
。
ここでは脳の情報処理については触れません。網膜で光を感じるメカニズムついて説明していきたいと思います。
2.種の視細胞とその機能
網膜上の視細胞には、錐体(すいたい)細胞と杆体(かんたい)細胞の2種類の視細胞があります。
(1)色を感じる錐体細胞
錐体細胞は、網膜の真ん中当たり(中心窩)に多く存在しています。感度が高くないので暗いところでは反応しません。しかし、錐体は色を識別することが可能です。
人間は、赤錐体、緑錐体、青錐体という3種類の錐体を持っていて、3つの錐体はそれぞれの名前に応じた色の光に反応します
(図7)
。この3種類の錐体の反応(情報)の組み合わせによって、私たちの脳内で無数の色が生まれます。
(2)明暗を感じる杆体細胞
杆体細胞は、中心窩を取り囲むように存在しています。感度が高いので、暗く光があまりないところでも反応します。しかし、1種類しかないため色を識別することはできません。暗い所で物を見るときに色が分からないのは、このためです。では、明るい所ではどうかというと、逆に光が多すぎて機能していません。
このように、網膜上では2種類の細胞で光を感じています。
視覚とは、生物が外界の情報を取り入れるために発達させた感覚器官の1つと言えるでしょう。その原理は、物質によって吸収する光の波長が違うことを利用しています。外界からの光を網膜で受け、それらを情報処理し、次に行う行動の判断材料としていきます。
何色とか単純に言っていることも、突き詰めるとこのような物理的・化学的現象によって表現されます。それは視覚だけにとどまらず、聴覚や嗅覚でもそうです。こうしてみると、人間は情報処理が複雑なだけで、情報入力に対して行動という出力を行い続ける機械にすぎないのかもしれません。
<POINT!>
※
(特定の波長の)光が、網膜上の視細胞に刺激を与えて「物が見える」(色を感じさせている)。
※
視覚に関与する細胞(視細胞)には、錐体細胞と杆体細胞の2種類がある。
※
錐体細胞は、吸収する光の波長の違いによって3種類の細胞(錐体、緑錐体、青錐体)に細分化でき、それぞれが名前に応じた色の光に反応することで色を知覚する。
ここまで、物を見るしくみについて説明してきました。次回からは、血液が酸素を運ぶしくみについてです。
連載4 「酸素を運搬する人体の生理(その1)―赤血球とヘモグロビン―」 >>
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