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医療機器メカトロニクス
病院で何気なく目にする様々な医療機器、その仕組みや原理等を分かりやすく解説します。
(解説者:医師 北村 大也)
第9回 『心電図』  
連載4 ― 「心電図の基本的知識(その4) 
―心臓を動かす電気的しくみ―」
(掲載日: 2007.12.21)
<< 連載3 「心電図の基本的知識(その3) −ベクトルの要点2−」
1.心臓の働き―循環系―
 
 心臓は血管とともに循環系(心臓血管系)を構成します。循環系は体の各器官に酸素や栄養を供給する一方、不要になった代謝産物を受け取るといった輸送機能を果たしています。循環系の模式図が図12です。

 心臓は大きく分けると左心と右心に分かれていています。さらに、それぞれが心房と心室に分かれていています。心房は血液が帰ってくる所で、心室は血液を送り出す所です。左心から出た血液は、体を巡って酸素や栄養を全身に供給する一方、右心から出た血液は、肺で二酸化炭素を放出し酸素の供給を受けます。左心から出て全身を巡り右心に戻る経路を「体循環系」、右心から出て肺を経て左心に戻る経路を「肺循環系」と言います。

2.拍動する心臓―刺激伝導系―

 心臓は血液を送り出すポンプの役割を果たしていますが、これを制御しているのが刺激伝導系と言われるしくみです(図13)。

 心筋細胞は、それ自体が収縮するだけでなく刺激を伝導する作用もあります。その中でも刺激伝導系の心筋細胞は、収縮作用より刺激を伝導する作用が強い細胞からなっています。


 洞結節で発生した興奮(電気の発生)は結節間路を通り、房室結節、His束、左脚・右脚と伝わりながら、心房・心室を興奮させていきます。それはさながらドミノのようです。この一連の流れの中で心臓は1回拍動します。1回の拍動で起きる電気活動を測定したのが図14です。この心電図からどういったことが分かるのでしょうか。次回からは、心電図のしくみについて説明していきます。

<POINT!>
循環系における血液の流れを作っているのが心臓の拍動であり、拍動は「刺激伝導系」により制御されている。
心電図は、心臓の刺激伝導系に発生する電気活動をとらえて波形グラフに記録したもの。
連載5-「心電図の原理」 >>
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