先見創意の会
MENU
SSネット勉強会
<< トップへ戻る 医療メカトロニクスバックナンバー一覧へ >>
医療機器メカトロニクス
病院で何気なく目にする様々な医療機器、その仕組みや原理等を分かりやすく解説します。
(解説者:医師 北村 大也)
第9回 『心電図』  
連載3 ― 「心電図の基本的知識(その3) −ベクトルの要点2−」
(掲載日: 2007.12.14)
<< 連載2 「心電図の基本的知識(その2) −ベクトルの性質1−」
  1.ベクトルの1次独立性
 
  ベクトルの性質で重要なものの1つに「1次独立性」があります。言葉は難しいですが、そんなに難しいことを表していません。

 “平行でない2つのベクトルを使えば、平面内のすべてのベクトルを表すことができる”というのがだいたいの意味です。数学的に正確な定義はあるのですが、ここでは踏み込みません。

 図9のように、いくつかのベクトルがある場合を考えてみましょう。


 
 平行でない2つのベクトル、ベクトルaとベクトルbがあります。ベクトルa、bの大きさをちょうどよく変えれば、どのベクトルも表すことができるのが分かります。逆に言えばどのベクトルも平行でない2つのベクトルに分解できます。

 太郎君がAからBまで移動するのを2つのベクトルで表してみましょう(図10)



 2つの直角のベクトルAFとベクトルAGがあります。
このときベクトルAB=ベクトルAF+ベクトルAGと表せます。

 これは、太郎君がBまで移動したときベクトルAF方向にはAFの分だけ、ベクトルAG方向にはAGの分だけ移動したとも言い換えることができます。
この性質は、心電図の原理を理解するのに非常に大事ですので、よく覚えておいてください。

 2.3次元空間のベクトル

 さて、今までは平面のベクトルを考えてきましたが3次元空間のベクトルはどうでしょうか? 

 校庭を移動するのではなくて、飛行機が空を飛ぶ場合などです。
 3次元空間のベクトルでもほとんどの性質は大体同じです。
ただ、1つのベクトルを表すのに平行でない3つのベクトルを用いるのが平面ベクトルとは違うところです(図11)


 
 ベクトルについての話はこれで終わります。
ベクトルの知識がしっかりないと心電図のしくみを理解することはできません。
ベクトルのイメージがつかめたところで、次回は心臓の電気的なしくみについて説明していきます。

連載4 ― 「心電図の基本的知識(その4) ―心臓を動かす電気的しくみ―」 >>
(C)2005-2006 shin-senken-soui no kai all rights reserved.