慮武鉉政権をWeb上で熱狂的に支えるボランティア団体「ノサモ」、国家によって作られた英雄・黄ウソク教授の支援団体サイト「ILH: アイ・ラブ・黄ウソク」、そしてWeb空間で代理母斡旋に暗躍する「アギモ」。韓国ES細胞事件の真相を求め、河の上流を辿る21世紀のアポカリプス(黙示録)の旅路の終着点には、またしてもインターネットの裏面に広がる「闇の奥(Heart of Darkness)」(映画「地獄の黙示録」の原作) がぽっかりと口をあけているのである――。
その点では、わが国の映像メディアも同じであろう。一方で「国家の品格」を高らかに謳い、一方でホリエモンの逮捕・保釈報道に見られる道交法を全く無視したチープなアクション映画さながらのカーチェイスを競って見せた軽薄さは、会員諸氏の目にはどう写っただろうか?「所詮、数字(視聴率)がすべて」の行動原理に完全に埋没したメディアに、「金がすべてだ」と言い切った堀江被告を断罪する資格などはじめからないのである。 サンフランシスコ・ベイエリアを活動拠点とし、人気ブログ「Bayosphere」や『We the Media』(邦題『ブログ 世界を変える個人メディア』)の著者としても知られるジャーナリスト、ダン・ギルモアなら、おそらくこう嘆くだろう。「Media, I’ve had enough.(メディアよ!もうじゅうぶんだよ)」と。