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病院で何気なく目にする様々な医療機器、その仕組みや原理等を分かりやすく解説します。
(解説者:医師 北村 大也)
第9回
『心電図』
連載6 ― 「心臓の電圧の検出方法(誘導法)」
(掲載日: 2008.01.04)
<< 連載5「心電図の原理」
1. 標準肢誘導
手足に付けた電極で測る電圧を「標準肢誘導」と言い、右手を左足で測る誘導は「U誘導」と言います。このほか、標準肢誘導には「T誘導(右手と左手の電極で測定)」と「V誘導(左手と左足の電極で測定)」があります。
これらは、2つの電極間の電圧を測定するので「双極誘導」と言います(ちなみに、右足に付いた電極はアースで、直接の測定には関係ありません)。
心臓に発生した電圧は、標準肢誘導では、
(図17-a、b)
のように測定されます。
連載3の図10
の太郎君のときと同様に考えてみましょう。太郎君がAからBまで移動したとき、AF方向にはFまで移動しました。心臓に発生した電圧をそれぞれの誘導で測定した場合も、それぞれの向きにどれくらいの電圧が発生したかが分かります。
2. 単極誘導
心臓の電気的中心からそれぞれの電極方向に発生した電圧を測定しています。 aVr、aVL、aVFの3種類があります
(図18)
。
3. 胸部誘導
標準肢誘導は、前額面内の平面ベクトルとして電圧を測定していましたが、胸部誘導は冠状断の平面ベクトルです。
電極は、V1〜V6までの6個が基本で
(図19-a)
のように付いています。また、心臓は
(図19-b)
のような位置に収まっています。ここで注意してほしいのは、心臓の位置です。右心系は右とは言っても、実際は胸の前面に位置していて右にはありません。
胸部誘導も単極誘導で、心臓の電気的中心から電極に向かってくるように電流が流れたときの電圧を正として測定していきます。
これにより各電極は心臓の異なる部位の状況を良く把握します。厳密に分けられるものではありませんが、以下のような感じです。
V1・V2:右室、左室後壁
V3・V4:左室前壁、心室中隔、心尖
V5・V6:左室側壁
4. 誘導の意味
このように、たくさんの誘導を用いることは心筋梗塞の診断などに役立ちます。 心筋梗塞を起こしたとき、異常波形がどの誘導に出たかで梗塞が起きた部位をある程度特定することが可能です。
前述以外にも、U・V・aVFの異常波形なら下壁梗塞だ、などは国家試験にも出るくらい有名です。
<POINT!>
※
12誘導心電図の検出方法には、標準肢誘導(3誘導)、単極誘導(3誘導)、および胸部誘導(6誘導)がある。
※
立体的(3次元的)な心臓の電圧のベクトルは、平面に投射され、その平面上のベクトルがさらに直線である誘導に投射される。
連載7-「心電図の波形」 >>
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